入院していた病棟に行ってみた

どうもwild-manです。今日は週一度の血液内科の外来の日です。家を出ようとしたときに、眼鏡が行方不明になっていることに気づき、部屋を捜索していたら20分も掛かってしまい、予約の時間ギリギリに病院に付く羽目になってしまいました。新しい眼鏡を買ってこういう問題が起こらないようにしようかな。抜本的な解決策になってない気はしますが・・・。


血液検査を終えて診察。検査の結果は特に問題なく、その他にも特に悪いところはないのであっという間に診察は終了しました。退院して3週間以上経過したことだし、体調も良好なので入院していた病棟に顔を出すことにしました。入院患者の中に誰か知っている人が居て欲しいけど、まだ体調が悪くて入院しているってことだから、知っている人が居ない方がいいのかな、などと考えながら病棟へ。


病棟に着いたら最初にナースステーションへ行き、入院中にお世話になった看護婦さんに挨拶。流石に仕事中だから話し込むのも迷惑なので手短に話をして知っている人は居ないか病室を見て回る。


ずっと同じ部屋で、何度もベッドが隣同士になった方を見つけたので挨拶に伺いました。この方は私の3週間ほど前に骨髄移植を行なってはいたものの、私が退院するときにはサイトメガロウイルスが出てしまい、退院のメドが立っていないという感じでした。
流石に3週間も経っており退院して居なくなっているかなと思っていたので、居たことに少し驚きました。話を聞いてみると、白血病が再発してしまったとのことでした。血液検査の結果もみせてもらいましたが、そこには私も1ヶ月以上見ていない異常な値を示す白血球や赤血球、そして白血病患者が一番見たくない芽球(白血病細胞)の値がありました。


この話だけでも衝撃でしたが、私とほぼ同時期に移植を行った女性の方も再発して病院に戻って来たってことも聞きました。彼女も私と同じようにそれほど酷いGVHDは出なかったらしく、順調に体調も回復していき、私よりも早く退院していく様子を見ていただけに本当に驚きました。


私の場合、同じ病棟でよく話す人はあまりいませんでしたが、この二人は比較的よく話す人ですし、だいたい移植した時期も一緒なので良く知っている方です。入院中は互いに病気や治療の情報を交換したり、励まし合ったりと色々なことがあっただけに本当にショックでした。もちろん一番ショックなのは本人や家族だと思いますが。


治療や移植の際にはリスクや成功率等のデータは説明されました。抗がん剤のみでの治療での5年後の無病生存率30%、1度目の寛解での骨髄移植を行った場合の5年後の無病生存率60%、2度目の寛解での骨髄移植を行った場合の5年後の無病生存率50%・・・。色々な治療の選択肢の中から現在の体調や年齢、ドナーさんとのやりとり等を考慮して、治療方法を選びます。
2人とも白血病のタイプが違うため、移植に至るまでに辿った道は私と多少違いますが、大きく見れば大体同じ。治療の苦痛や白血病への不安は理解出来るつもりです。きっと2人だって私と同じように成功率が一番高いから骨髄移植を選択したのでしょう。それに伴うリスクの説明も受けたでしょう、私も受けました。それでもなお骨髄移植の道を選びました。


移植前の大量の抗がん剤の点滴と放射線治療、移植後の何日も続く40度以上の高熱と下痢や吐き気、全身を襲う倦怠感、体験してみないと分からないあの辛さ。一般的に一番体力があるとされている20歳であった私が体験して本当に大変だったのだから、高齢だったり他の場所に病気を持っている人だった場合、どれだけ大変なことだろうか・・・。


私が今元気になったのは、ドナーさんや先生、看護師や家族、友達の応援や支えがあり、且つ自分が辛い中で一生懸命頑張って治療に励んだからだと思っています。移植という辛いことに耐えたから元気になれたって思っています。


何で読んだか聞いたかは忘れましたが「この世で苦しみや試練を与えるのは神であり、それらに耐え乗り越えることが出来た人の元に幸せがやってくる。この世で快楽や誘惑を与えるのは悪魔であり、それらにのめり込んだ人の元に不幸がやってくる」ということを聞いたことがあります。


じゃあ何故、私と同じように白血病の治療に耐え、移植の苦しさを乗り越えた2人が、また白血病の苦しみの道を歩まなくてはいけないのか。大きい駅の前に神のすばらしさを大きな声で説いている人がいるが、こんな仕打ちを与える存在が、神と呼ばれるような存在とは到底思えない。仮に存在するとすれば、全ての事象をサイコロの出目で決めるようなヤツで、人の意見を聞き入れるようなことはしないでしょう。


その後、女性の方にも挨拶してきました。笑顔で出迎えてくれましたが、私がどうすれば良いか分からなくなってしまいました。彼女は私より年上とはいえ、まだ20代だし、旦那さんもいらっしゃる。放射線治療の副作用である生殖機能が失われるということは、私以上に深刻な問題になったと思う。それでも、骨髄移植の道を選び、この結果というのは残酷なんじゃないかって思う。


入院していれば他の患者さんの家庭のことも話をしているうちに大体分かってきます。もちろんプライベートなことなので書けませんが、だからこそ一緒に頑張って病気を治そうって思いましたし、良くなって幸せな「普通の」生活に戻って欲しいな、私も戻りたいなって思いました。その人を知っているから感情移入してしまう部分もあると思います。だからショックで、悔しいような、悲しいような、残念なような・・・言葉には出来ないような複雑な気持ちになります。



8ヶ月ぶりに手に入れた「普通の」生活。もう暫くは病院に頻繁に通わなくてはいけないので「普通」って程でもないかもしれませんが、腕に点滴は刺さっていませんし、芽球の数を気にしたのも少し前のことになりつつあります。そのような生活を送っている中での今回の出来事は、本当に衝撃的でショックでした。また去年の10月に体験した白血病の告知を聞く可能性が無いわけではないということ。頭の中ではちゃんと「移植の成功率は60%であり、逆に言えば40%で失敗する」ということを理解していたのに、実際は失敗することなんて全く考えていなかったこと。


私は白血病が再発したときに耐えられるのでしょうか。やっと手に入れた生活から再び離れなくいけなくなる現実を突きつけられたら、前みたいに前向きに治療に取り組めるのでしょうか。怖くて仕方ありません。治療も、生活を失うことも。