なぜなに骨髄移植 〜骨髄移植をわかりやすく解説〜 (後編)

やあみんな、こんにちは。wild-manお兄さんだよ。昨日はポララミンの影響で爆睡してしまったから日記が書けなかったよ。ごめんね。今日も骨髄移植の説明を書くけど、まだ前編を読んでいない人は先に一昨日の日記を読んでね。今日の解説がわかりやすくなると同時に、何故、こんなムカつく口調っぽく書いているかの説明もやんわりとしてあるよ。あと、今日の日記の中で何回も「白血病」という単語が出てくるけど、これはお兄さんの持っている急性骨髄性白血病のことを指していると思ってもらえると助かるかな。慢性のものやリンパ性のものに当てはまるかどうかは分からないんだ。それから前編にも書いたけど、ここに書いてあることは間違いを含んでいるかもしれないから、詳しいことはお医者さんに聞いてね。


今日はそもそも何で造血幹細胞移植をしないといけないかを説明するね。一言で言うとすれば昨日の前編の解説に出てきた「GVL効果」を期待して移植を行うんだ。GVLとは「Graft Versus Leukemia」の略で日本語で「移植片対白血病細胞反応」と言うんだ。


白血病になると血液に乗って悪性の白血球が体中に行き渡っているんだ。これを最終的にゼロにすることが白血病の治療の目的なんだね。不思議なことに悪性の白血球の数がゼロになれば白血病は完治し、以後出てくることは無いらしいんだね。逆に言えば、悪性の白血球の数が1つでも残っていれば、いずれ白血病は再発してしまうんだ。


白血病の治療は化学療法と造血幹細胞移植を行うことが一般的なんだけど、上手くいけば化学療法、つまり抗がん剤だけの治療で悪性の白血球の数をゼロにすることが出来るんだ。ただ、化学療法だけで完治する確率は3割程度なんだよね。また状態によっては化学療法だけの治療では高確率で再発するものもあるから、リスクを伴うとはいえ造血幹細胞移植を行うことが多いんだ。


造血幹細胞移植を行うということは、自分の体の中に他の人の細胞を入れるということになるね。他の人の細胞から見ると、自分の体の中にある細胞は敵に見えるんだ。だから移植した細胞が、抗がん剤だけでは無くしきれなかった自分の体に残った悪性の白血球を攻撃してやっつけて、ゼロにしてくれることを狙って移植を行うんだ。この効果を「GVL効果」というんだ。


ただ、移植は同時に危険な面もあるんだ。先ほど「他の人の細胞から見ると、自分の体の中にある細胞は敵に見える」と書いたけど、移植した細胞から見ると自分たちの細胞以外は全て的に見えてしまうんだ。だから移植した細胞は、良い細胞も悪い細胞も全て攻撃してしまうんだ。これをGVHD(Graft Versus Host Disease)、日本語で「移植片対宿主病」と言うんだ。


似たような言葉で「拒絶反応」というものがあるけど、拒絶反応とは自分の細胞から見ると移植した細胞は敵に見えるので、自分の細胞が移植した細胞をやっつけてしまうことを言うんだ。だから実は意味が違うんだ。


GVHDは人によって大きく異なるし、酷い人もいれば、あまり出ない人もいるんだ。皮膚が赤くなったり黒ずんだり、口の中が荒れたり、下痢をしたり色々なことが起こるんだ。痛みを伴うことも少なくないらしいね。


造血幹細胞移植を行うときには、移植の前に大量の抗がん剤を投与し、全身に放射能を浴びせて体の中の白血球を出来る限り少なくするんだ。だからとても患者に負担がかかってしまうんだ。これで命を落としてしまう人もいるぐらいなんだ。また、移植を行った後も酷いGVHDが出てしまった場合、やはり命を落としてしまうんだ。お兄さんが先生に聞いた話では、痛みも酷いらしく常に鎮痛剤を点滴することになるらしいんだ。また場合によってはモルヒネ級の鎮痛剤を使うこともあるらしいんだ。


だから患者の健康状態がよいというのは、移植を成功させる上でとても重要なんだ。年齢も若い方が成功率が高いのも、やはり若い方が体力があるってことなんだろうね。


ここでちょっと質問なんだけど、キミの血液型は何型かな? お兄さんはA型なんだ。え?アンタのことはどうでもいい?そんなCV:平野綾な返答をされても・・・。まぁ、確かにもう暫くしたら本当にどうでも良くなる可能性もあるんだよね。


骨髄移植ってのは見方を変えると、まともな血液を作れなくなった生産ライン(造血幹細胞)をまともな血液が作れる生産ラインに入れ替えるってことでもあるんだね。前編でも書いたけど、HLAというのは血液型には左右されないんだ。だから、お兄さんに移植される造血幹細胞がA型意外だった場合、そのドナーさんの血液型に変わるということになるんだね。


移植後に性格が激変するかどうかは分からないけど、血液型占いはどれを見ればよいか悩んじゃうね。大変な治療を行うんだから物事の考え方や死生観なんかは変わりそうだけど、流石に別人ってほど変わるわけはないだろうし、そう考えると血液型占いや血液型による性格判断というのは、少なくともお兄さんにとってはあまり信用できるものでは無くなってしまうね。


それから豆知識だけど、日本ほど血液型がバラバラな国というのは世界的には少ないらしく、90%ぐらいが一つの血液型で占められている国の方が多いらしいね。ちなみにちょいワルの国イタリアでは殆どがA型らしいけど、電車とかは平気で遅れるらしいね。イタリアに何度も行ったことがある知り合いの話では、几帳面かどうかは人によるし、少なくとも国民性が几帳面って感じではないだろう、だって。


おっと話が逸れてしまったね。とりあえず白血病になると、どうして骨髄移植を行うかは分かってもらえたかな。2日分の日記をまるまる使って骨髄移植について説明したけど、お兄さんもまだまだ勉強中で分からないことも沢山あるんだ。この変な形式の日記は今日で終わって、次回からは普通の日記に戻るけど、気が向いたらまた「なぜなに骨髄移植」をやるかもしれないよ。



それじゃ!