久しぶりに

どうもwild-manです。昨日、一昨日は特に何も無かったので日記をサボりました。今のところ、抗がん剤の点滴も終わって、薬の効果が出るのを待っている状態なんで、特になにもないんですよね。お蔭さまで健康(?)を維持しているので、世間では風邪が流行り始めているらしいですが、それらしい症状も出ていませんし良い感じです。
ちなみに今日変わったことがあったかといえば、親戚がお見舞いに来てくれたことぐらいですが、これについては書くことは特にないです。会話の内容は盆や正月なんかに会った時にする会話と変わりませんし。ただ、お見舞いに来てもらうと嬉しいものですね。



で、今日は久しぶり外に出ました。といっても医師から許可が出たのではなく、医師や看護婦の目を盗んでという感じでしたが。


ぼーっと病室の窓から東京の夜景を眺めていると、急に外の空気が吸いたくなりました。
夜の9時過ぎの病院、平日なら多少は人気がありますが、休日、特に日曜日になると人気はほとんど無くなります。
人気の無い廊下やホールを抜け、緊急外来の出入口から外へ。


外に出たのは何日ぶりのことでしょうか。緊急入院してから一度も外には出ていませんでしたから、7〜8週間ぶりぐらいですかね。いつの間にか季節は冬になっていたんですね。入院した時は、やっと長い夏が終わった頃、朝晩は涼しいけど昼間は半袖でも大丈夫ってな感じでした。流石にパジャマみたいな格好では寒いです。
ただ久しぶりに吸う外の空気は、東京の排ガスに汚れた空気とはいえ、何とも言えず心地良く、そして肺を冷たく充たすことが、季節が変わる程入院していたことを実感させられ寂しくなりました。


外に出るとは言っても、緊急外来のドアの外に出る程度です。血液検査の結果を考えると注意しなければいけない状態ですから、これ以上下手なことは出来ません。まあ空気清浄機が導入されている状態だと、外の空気を吸うということ自体が下手なことかもしれませんが。

ドアの前にあった植え込みの縁に座り、来る途中に買ったホットの缶コーヒーを一口。パジャマみたいな入院着を着た凍える体に暖かく染み渡るのを感じました。


何となく空を見ましたが、ほぼ満月の月は綺麗に見えるのに星は見えませんでした。そういえば東京に来てから意識して夜空を見ることはありませんでしたが、こっちに来てから度々見てきた夜空には星が無かったような気がします。
実家の福島にいる頃は塾で、9時過ぎになり、帰る途中に何となく見上げた夜空には星がありました。季節ごとに変わる夜空を見ても何も感じませんでした。せいぜい「あー、冬になると習った通りオリオン座出てくるなー」とか「そういえば夏の大三角形とか習ったなー」とかって程度です。
意識しなくても何となく見ていた星。東京には見上げるぐらいの高くて綺麗な光り輝くビルが沢山あるのに、見上げたその先にある夜空には星がないというのは、なんか寂しいですね。
何かしらの決めセリフで「同じ空の下にいる」っていう言葉がありますが、少なくとも東京で見ている空が、私が高校の塾の帰りに見ていた空と同じものと考えることは難しいように思います。


コーヒーが半分ぐらいになる頃、緊急外来の出入口からコートを着込んだ20代中盤ぐらいの二人の女性が出てきました。日曜日のこの時間に見舞いから帰る人は殆どいないので、恐らく看護婦さんでしょう。缶コーヒーを持った入院着の男が訳もなく座っているのを見て、彼女達は不思議そうな顔をしていました。まぁ、確かに不思議ですわな。


塾から帰る途中に星空を眺めていた高校の頃の私は、2〜3年後の自分がどうなっているかと考えていたかは良く覚えてないですが、少なくとも白血病になるとは夢にも思っていなかったでしょうね。



ふと気がつくとコーヒーは空になり、何となく体も冷えてきたので部屋に戻りました。
部屋で時間を確認すると外に出ていたのは10分程度。思ったよりも短かったなという印象でした。


外に少し出るだけで、自分がずいぶんと隔離された状態にいることを感じました。来月は1週間だけですが退院します。その後、すぐに再度入院しなくてはいけない訳ですが、私は1週間の間に何を感じるのでしょうか。久しぶりの「社会」や「世界」は私の目にどう映るのでしょうか。楽しみであり、不安でもあります。