『イリヤの空、UFOの夏』全四巻読み終えました。

先輩に「俺は読んだことはないけど、この作品は面白いらしい」と、信用して良いんだか分からないような薦められ方で、とりあえず買ってみた『イリヤの空、UFOの夏 その1』。
とりあえず読んでみたら面白くていろいろと用事はあったのに無理矢理本屋に寄って買った『イリヤの空、UFOの夏 その2』。
どうにもこうにも面白くなってきて本屋に行く暇もないのでインターネットで注文した『イリヤの空 UFOの夏、その3』と『イリヤの空、UFOの夏 その4』。
ここ1ヶ月の出来事です。ある意味、時間軸だけをみれば小説と同時進行になっちゃってますねw

「ひと夏に起こった“不思議”と“感動” / 鬼才・秋山瑞人が贈るボーイ・ミーツ・ガール、登場」と書かれた『その1』の帯。
結論から言ってしまえば全然ボーイ・ミーツ・ガール(Boy meets girl:良くある恋物語)では無かったですね。だからこそこの作品は面白いのかもしれませんがw

とりあえず、全体を通して感じたことは、主人公・浅羽直之の成長でしょうか。ネタバレは避けたいところなので深くは書けませんが、『その4』の“エピローグ”の最後の「自分で〜」というところ、ここが私の中で一番グッと来たところであり、私にとって一番切なさを感じたところでした。

『その1』、『その2』、『その3』の途中までは、どちらかといえばドタバタギャルコメ的なものを感じることもありましたが、『その3』の「水前寺応答せよ・前編」から急に始まる非日常的な生活。"戦争がいつか始まるかもしれない。でも、戦争なんて始まるわけがない"という平和ボケした考えを打ち壊す開戦という出来事。そして、前々から描写されていた伊里野の役割の表面化。この急展開はホント、作品に引きつけられますね。

で、やはりここまで引きつけられる原因としてあるのはストーリーの展開もさることながら、風景描写力だと思うんですよ。この作品、電撃文庫だというのにもかかわらず挿絵が一つもないんですね。想像する情景は挿絵などのサポートを経ることはなく、ダイレクトに文章から得た想像なんですね。そうなると、やはり風景描写力が大切になってくると思うんですね。登場人物の心境、それをどう風景を描写する中に織り込むか。
直接過ぎてもダメですし、隠しすぎたり、分かりにくい比喩を用いたりするのもダメ。ここはやはり筆者のセンス次第だと思うんですよ。
で、やっぱり今回引きつけられた理由に秋山瑞人の描写力にやられたって感じなんですねぇ。

とりあえず読んだことがない人にはオススメです。4巻の最後の辺は涙腺緩んじゃいますよ。ホント。


イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫)

イリヤの空、UFOの夏〈その2〉 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その2〉 (電撃文庫)

イリヤの空、UFOの夏〈その3〉 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その3〉 (電撃文庫)

イリヤの空、UFOの夏〈その4〉 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その4〉 (電撃文庫)